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藤の花房 [思い出]

家の近くの川の崖っぷちから水面の方まで大きな藤の木が垂れ下がっていた。このころになると上から下まで薄紫の花房がたれ甘い匂いが辺りじゅうを満たしていた。あの香りは何とも言い難い甘さ、よく私はファンタグレープの香りに感じていた。実家の家の近くには親父が植えた白藤があって今でも花を咲かしてハナバチがしきりにやってくるらしい。藤の花と言うと正岡子規の歌を思い出してしまう。動けなくなり死期を悟った子規が
瓶にさす藤の花ぶさ一ふさはかさねし書ふみの上に垂れたり
瓶にさす藤の花ぶさみじかければたゝみの上にとどかざりけり
と呼んだ藤の花、けれどもここには香りについての記載がない。勝手にカリエスだった子規は嗅覚がなかったのかな、などと思ってしまう。
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