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水と緑と風と [詩(うた)]

名も知れぬ山があった
無人駅で電車を降りて
農家が点々とする丘陵地帯を抜け
小さな川を何度かわたり
傾斜の急なセメント舗装の道を
翠の屋根の下登ってゆく
山側にはパイプから
じゃんじゃん冷たい水が溢れ
道の上まで覆い
沢蟹がゆっくりと横切ってゆく
道は細く砂利敷きになり
やがて木の根や土くれになった
木漏れ日がやっと届くほど森は深く
汗だくになりながら登ってゆく
尾根筋に出た時さあっと風が流れた
命が戻ってきたようだ
青い空白い雲緑の袖そしてせせらぎ
この一時間余りですべてに会えた
またくるよ

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