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夕焼け蛍 [世捨て人]

薄紅色の夕焼けが山間の空を染めて行く
細い道のそばにある合歓の花が
曼荼羅を拡げて眠りにつく
薄暗くなるほどに黄色い光を揺らせながら
蛍がふうわりと跳んでゆくよ
母の手にひかれて
私は蛍をゆらりと追いかけている
背中に止まった蛍を母に取ってもらって
掌で包んだら小さな光が漏れていた
を開いて空に返してあげたら
流れ星のように飛んで行った
わずかばかりの命の果てに
ただ光ながら消えて行く
儚さは私も同じわかっている
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夏の当たり前 [思い出]

ゆらゆら陽炎立ち昇り
草いきれむんむんの農道を
Tシャツ一枚で走ってゆく
銀色の自転車
背中にしょったリュックの中の
水筒まで煮えている
さあこれから谷間に続く
翠のアーケードを抜けて
曲がり角の木陰に自転車を止めて
沈下橋の上から滑らかに流れる川に
一気に飛び込む
白い泡が青い水の中ではじける
水底につくまでしっかり目を開けてる
冷たくてもなんどもなんども繰り返す
当たり前の川のある夏の日

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夏夢 [詩(うた)]

初めてのキスは抱きしめた少女の頭に
爽やかな髪の香りに包まれた
それでもまだ恋人とは呼べなくて
僕のことが好きだと言ってくれたけど
信じられずにいたけれど

始まりは夏休みの昼下がり
教室で君は涙を流しながら
突然僕の胸に飛び込んだ
最初はどうしていいのかわからずに
髪を撫でていた
僕を見上げる涙にぬれた君を
愛おしさあふれて抱きしめた
お互いに何も言えず
美しい時間を過ごした

ただの想い出だけど
だだの夢でもない
僕がまだ恋に見捨てられていなかったころ
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16の頃 [思い出]

あの雨雲が切れて青い空がのぞいたら走りだそう
濡れた舗装道路を滑るように
揺れる木漏れ日を体に受けて
白い洋館のタイサンボクの前まで

息を切らした君の顔がかわいくて目を逸らした
すれ違いの恋の行方も分からずに
抱きしめた16のころ
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心はカメレオン [双極性障害Ⅱ]

躁うつ病と呼ばれた双極性障害、私はⅡ型だ、極限状態に近づけば近づくほどハイになる癖があったのは実はそのせいだったと思う。ギリギリまで追い込んでバーンとはじける、その勢いで課題をやっつける。この病気の特徴として集中力が長続きしない、だからカメレオンのようにころころ色が変わる。鬱の時は呆然として黙り込む、ふらふらする、一人で泣いている。こんな山と谷がやってくるのだから、それを自分で制御しながらもう20年近くになる。最初の頃(SSRIやNassaを使っていた)以外ずっとリチウムとトリプタノールと睡眠薬だけだったが、一昨年当たりからカタプレス(クロニジン)を出されるようになった。本来は血圧の薬だが数年前から向精神薬として適用外だが使われている。いろいろ使った挙句に心はカメレオン(ラピッドサイクラー)
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僕の終わりとともに [詩(うた)]

さよなら過ぎ去りし日々よ
いつかは消え去ってゆく定めの僕らは
どんなにこころを砕いても人は忘れてしまう
握った掌の汗の感触も髪の匂いも
心の中から溢れ出た言葉も

君の名前を力一杯呼んでみたけど
空に喫われて消えた
光も雲も変わっていないと思うのに
時計の針は戻せない
あんなに悩んで苦しんで
一生懸命に好きになったのに
今はその欠片さえ見つけられない

この星のどかで君がいると知っているのに
全てが消えてしまう
僕の終わりとともに
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夏休みの歌 [思い出]

夏休みと言う歌があった、吉田拓郎だ。そういえば兄がギターをかき鳴らしながら歌っていたのを覚えている。麦藁帽子はもう消えた 田圃の蛙ももういない それでも待ってる夏休み・・・、そうだったな、二番以下の歌詞もそうだったと思う。最後のひまわり夕立蝉の声も思えばそうだった。ラジオ体操や林間臨海学校、登山やキャンプ、夏休みは楽しみだった。友達に会えないけどそれは会いに行けばいいだけのこと。危ない事やケガもした、冒険をしたり、農作業の手伝いでお金をもらったり。たった意ひと月余りだったけど一年間の楽しみをぎゅっと押し込んだ、小中学校の夏休み。高校生になると部活中心に回ったから、本当の夏休みはほとんどなかった。ケガで部活を引退してから急に夏休みっぽいことが増えた、図書館で彼女と待ち合わせしたり、喫茶店でたむろしたり、ちょっと青春ぽいことやったりしました。毎年毎年濃い夏休みを演じていました。大学は昨日書いた通り、周遊券の田保でしたけれど。
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周遊券があったころ [旅]

学生時代の夏休みなどの長期の休みには必ず鉄道旅行に出かけた。その時に必ず使っていたのがワイド周遊券の学割。今はなくなってしまったが北海道ワイド(南は使ったことがない)、東北ワイド、信州ワイド、北陸ワイド、北近畿ワイド、南近畿ワイド、山陰ワイド、四国ワイド、九州ワイド、何と言っても往復の急行、区域内の特急乗り放題で一週間以上、これはコスパ抜群、なおかつ往復や域内に夜行急行や夜行普通がある場合は宿泊費も浮かせる。その上区域内に入るのに幾つかのルートを選べる。ミニ周遊券もあったが学生はほとんどワイド周遊券だった。これに駅弁や銘菓などを加え自分なりのプランを作った。特定のユースホステルに泊まるためのプランも作った。北海道や九州、東北などのエリアの広いところはお得感あった、東北新幹線ができたての頃は組み入れもあったし、北海道は往路か復路で飛行機を選べるパターンもあった。大時刻表をリュックに詰めて、春休み、夏休み、冬休みと徘徊していた。実家に帰るときも九州ワイドで帰っていた、実家には一日か二日しかいなかったが。復活しないかなワイド周遊券。
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夏の夜の夢か [双極性障害Ⅱ]

不思議な家がありました
誰もいないのに影が見える
いるはずのない土間から下駄の音がする
眠っていると風が顔にあたって目が覚める
夜怖いのを我慢して外のトイレに行くと
闇の中から何かが見ている気がして
恐々屋根の上に目をやると赤い目が二つ光っていた
明け方にはひょーひょーと何かが高い声で鳴いている
障子にぼんやり光るものが動いていた
子供二人で留守番をするには荷が重い家でした

こんな不思議な家は今はもうありません
50年も前の話です
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淡い恋はしたかな [詩(うた)]

こんな年のおっさんが淡い恋なんて言ったら気持ち悪いけどなあ。でもみんなそんな時期を通って大人になった。

白い帽子と白いブラウスの人
ちぎれ雲より白い頬
光の雫より透き通った眼差し
翠の風に薫る甘い香り
ただそばにいるだけで
僕のすべてが洗われる
ファインダーから覘いた君は
まるでアイドルのポートレート
君専属カメラマンの僕は
ただ夢中にシャッターを切った
あの時のたった一枚がここにある
光も風も香りもあの時のままで
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