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怖かった話、また? [思い出]

私の実家のそばにはよくわからない塚がたくさんありました。山道の途中、畑の中、山の中、多くの塚は古びて文字も読み取れないほどでした。庚申塔や二十三夜塔は同じ場所に沢山あるのでわかるのですが、なぜかぽつんとあるのが塚でした。伝承では江戸時代の刑場だとか落ち武者の墓だとかいろいろありました。しかし、よくわかりませんでした、そのうちの一つが同級生の家に行く途中にありました。山の上の一軒家で九十九折りの坂道を登ります、塚はちょうど中腹あたりにあるのです。夏休みのこと遊び過ぎて日はとっぷりと暮、急いで坂道を駆け下っていました。ほとんど真っ暗闇を走るのですから危険極まりない、そしてやっぱり何かに躓いて前のめりに転んだのです。それはちょうどあの塚の前だったのです。私は何に躓いたのかわかりませんでした、ただなんとなく塚の上にある碑石が動いたような気がしました。こわくなってまた喚きながら駆け降りました。家について見ると躓いた足は爪が割れてひどく擦り剝けていました。翌日もまた友達のところへ行こうと山を登っていきました。昨日はどこで転んだろうかと思いながら跡を探したのですが見つかりません。塚のところに来て碑石を見た時、驚きました、なんと碑石に泥がついていて擦った跡があったのでした。まさか、私は宙を飛んでいたのでしょうか、それとも碑石が動いて私を転ばせたのでしょうか。
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