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最期の時から [心象のスケッチ]

俺がここにいた証は何だろう。子供いないので子孫は残せない、重要な発明や発見をしたこともない。後世に残るような芸術作品も文章も残していない。お金もたくさん残しているわけでもない、消え去るときにもひっそりと多分親戚とわずかな友人たちに見送られるだけだ。じゃあ何のために生きてきたのか、それは生きるために生きてきたわけでそれ以外もなければそれ以上もない。多くの人々は僕と同じようなもの、それを平凡だのありきたりだの言おうがそういうものだ。つまらない人生のようで本人はいろいろ悩み苦しみ、喜び生きてきたのだ。これから行くところがどこであるかわからない、ただしノーベル賞受賞者も独裁者も大悪党だって結局消えて行く。その時にはすべての感覚や思考など雲散霧消だ。だから生きてきたあいだの自分が感じたものがすべて、生命活動を終えればすべて何もなくなる。
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