さよなら友よ、さよなら思い出の駅よ [思い出]
今年もまた古い友人が一人鬼籍に入った。田舎に帰ったときにまた一人亡くなったと聞いた。これからこうしてまた一人と減ってゆく、そのうち私もその一人となる。ふるさとの小さな駅を思い出した、私がいたころは学生たちのさざめきにあふれていた。里帰りの時に下りてみれば一人きり。あのころのことは鮮明に覚えているのに駅も駅前も木枯らしが吹きすぎる。帰りに寄っていた雑貨屋も店を閉じたまま時の流れにさらされて霞んでいる。広い駐車場にも車はなく駐輪場に自転車もない。時が凍り付いて壊れてしまったような駅の名は牧口だった、今は豊後清川と言う、そこにある思い出の故郷。この駅もやがて消えるのだろうか、私が消える前に。