SSブログ

梅雨寒の裏路地 [双極性障害Ⅱ]

高校を卒業して合格した大学に行くか、一年浪人しようかと迷っていた。いったんは九州の国立も考えた、京都の私立も考えた。けれど考えがまとまらないうちに4月を迎え、気持ちに区切りをつけて浪人すると福岡の予備校へ入った。当然、普通の募集は終わっていたがなんとか一番下のコースに入り込んだ。学生寮を希望したけれど空きがなく、紹介されたおんぼろ4畳半アパートで浪人生活を始めた。その予備校に友達もいない、しかも一人ぐらし、毎日寡黙な日々。そんな時には一人で部屋の中で音楽を聴いていた。けれど、雨漏りのしそうなアパートはいるだけで気が滅入った。そんな時には傘を手に近所の高架駅の辺りをうろうろした。傘がひっかかりそうな細い路地の中を俯いてあてもなく歩く。その奥の小さな定食屋で何かを注文するときだけ声を出す。ついでにその店にたくさんのため息を置いて帰った。
nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。