伊勢物語か [世捨て人]
昔をとこありけり、その男、身をえうなきものに思ひなして、「京にはあらじ。あづまの方に住むべき国求めに。」とてゆきけり。官職争いに敗れた色男のさびしい話・・・でも、モデルとされる在原業平は阿保親王の5番目の子、阿保親王事態が平城天皇の子の中でも三品(死後一品)、しかも平城天皇は薬子の乱に連座、高岳親王は廃太子と悲運の一族ではありますが、お兄さんの行平は民部卿にもなったし、この人も従四位上権中将までなったのだから悪くはない。しかも詩文の才は抜群、貫之の仮名序で六歌仙に挙げられている。ありはらのなりひらは、その心あまりて、ことばたらず。しぼめる花のいろなくて、にほひのこれるがごとし。心余りて言葉足らずとはよく言ったものだ、さらにしぼんだ花のあとにもにほひがそこはかとなく感じられるとは、褒めてんじゃないか。ほかの5人はちょっとけなしているのに。