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川は渡れない [詩(うた)]

川を渡ると言ったらどんな川だともうだろう
大きな橋を車で越える小さな川なら一跨ぎ
あるいはつり橋を揺れながら歩いて渡る
沈下橋を川面を見ながら自転車で渡る
飛び石伝いに走って超える
他に渡る川がある
男女の川をカササギの渡せる橋を渡る
三途の川を渡る
ルビコン川を渡る
思い切って何かをしなければいけない時
人は川を渡ると言う
意気地なしの私はずっと川を渡れない


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死んだこの年を [詩(うた)]

私より若くして亡くなった人たちを時々思い出してみる
特に10代であっと言う間に人生を駆け抜けてしまった人たち
遠い昔の記憶なのにすぐ昨日のことのように覚えている
あまりに急な出来事に時間がとまったように凍り付き
記憶の壁に張り付いている
病気や事故やいろいろな原因はあるけれど
残った思いはどこをさ迷っているのだろう
死すべき定めの人の子とはいえ
夭折と言う言葉の儚さよ
既に苔むした石の下で小さな壺の中にあって
花を手向ける人も絶え果てても
昔の輝きを私に投げかける
嘆かはしいほど変わり果てた私は返す言葉もなく
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花が咲く [詩(うた)]

側溝の端っこの土もないような場所に
赤い花が咲いている
あれはポピーの花だ
石段の石の隙間にも咲いている
異国の空の下こんなところまでと
思う限りに花が咲いている
踏まれても蹴られても
上を向いて咲いている
花壇には大事にされたサルビアが
燃えんとばかりに咲き誇る
どこだっていつの世だって花は咲く
薄汚れた私の中でも
無垢の姿で咲いている
純白のクチナシとタイサンボク
胸に香りを詰め込んで
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夏が来るよ、襟元の風から [詩(うた)]

髪をあげた襟もとの白さが夕闇に浮かんでる
うちわを持つ手がなよなよとこっちこっちと呼ぶ声に
少し恥ずかしそうに駆け寄る
まだ明るさの残る祭り場では
おはやしの音と子供たちのざわめき
二人で眺めてた
今年の夏が最後だとあなたを呼び出して
汗ばんだ手を握り締めた
デートなんてまともしたことはなかった
誰にも知られたくなった
それでもあなたの美しさを少し自慢したかった
ごめんねあなたは先生

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古いノートの端っこに [詩(うた)]

電車飛行機バスを乗り継いで
何十年ぶりに訪れた故郷の我が家
自分の部屋に上がって本棚に手を延ばした
参考書や問題集の間から引き抜いた
記憶にもない黄ばんだ大学ノート

ページを開けば懐かしい文字
高校時代のサークルの連絡帳
いろんな人の中にひと際下手な僕の文字
そのあとにきれいな君の文字
そんなこともあったねと頷きながら
遠い時代へと心は飛んで行く

ふざけたような僕の殴り書き
諭すような君の柔らかな文字
すれ違いばかりで本当のことを
言えなかった17の頃
もうすべて終わったことだから
ノートを本棚にそっと挟んだ
少し奥のほうに

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誰かが [詩(うた)]

誰かがあなたを好きになり始めた
一番最初に見つけたのは僕なのに
何も言えないままにただ時が流れて
気付いたときには遠くなっていた
あの雨の日そっと傘を差し出して
戸惑う僕を置き去りにしてった
そんなことを思いだしても
今は遠い幻思い出帰れない

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望みなき [詩(うた)]

望みなきこの身に思う世の人の皆に憂きことのなく幸多かれと

もうこの年になって限界が見えてくると自分の幸福とか祈っても仕方がない気がする。そこそこ生きて何となく死を迎える。それでもいい、まわりにはまだ世俗的な名誉や地位を求める人もいる、それそれでいいんだろう、そういう人が私で蹴躓いて思い通りにならなかったと恨まれる。私の方は本当はいい迷惑なんだろうけれど、そう言われるのも嫌だから道から外れて躓かないようにする。私は持って生まれた正確ではないにしろでしゃばりだしつい、誰もやらないなら私がやります、と言ってしまっていた、ただ余禄でやっているので評価の対象から外してくださいと。正直言ってカッコをつけていたんだろうと思う、何かを餌にされると途端にやる気をなくしてしまうという性格もあった。実際にそれが評価されたかどうかはわからない、評価に興味がない。昔の社長曰くよくわからん奴だな、もしかしたらそれが一番言ってほしい評価かもしれない。自分の価値は大したことはない、それ杯分が一番よくわかっているのだから。

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白いバラのように [詩(うた)]

その白さはまるで雪のよう
すらりと伸びた手足に小さい顔
少しウェーブのかかった黒髪
そばにいるだけで負けてしまいそう
切れ長の目に赤い唇
まるで絵本の白雪姫
どうしてこんなに近くにいるんだろう
僕が好きだと言ったわけでもないのに
手を伸ばして髪に触れば
覗き込む顔に照れてしまう
ほんのわずかの時間だけ一緒にいたね
僕は何も言わずに都会へ飛び出した
目をつぶれば今も君が見える
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あなたのために [詩(うた)]

今こうしている間にも
あなたは僕から離れてゆく
ちいさな病室の窓から
遠い空に向かって
傷ついた翼を精一杯羽ばたいて
あなたの生きてきた時間は
長かったですか
あっという間でしたか
僕があげた心の切れ端は
今も持っていますか
さようならありがとう
あの空の彼方で
まだしばらくは僕を見ていてください
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風がやさしすぎるから [詩(うた)]

青い空に白い雲が流れる
緑の風が揺れる午後
僕は透明な川に足をつけている
冷たい水銀のような光が揺らめいて
目を閉じて懐かしいあのころの夢を見ている
故郷の川は今でも青いままだろうか
水面を渡る風はやさしいだろうか
遠く離れていても思いだす
美しい日々よ
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