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青い空に雲が飛ぶ [詩(うた)]

麦畑の上を雲が流れてゆく
雲の影と麦の穂並みの揺らめきが
重なって新しい大地を作ってゆく
思い出は心を抱きしめて
涙を超えて光の彼方へ
こんな柔らかな五月の日差しの下で
遠くに見える青い山波が
ずっと昔僕が子供だった頃と
同じように見ている
この大地の風をいっぱいに吸い込んで
さようなら幼き日々よ
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象徴の風景 [詩(うた)]

何も見えない闇に差し掛かった時
あなたは優しく僕の手を取ってくれた
これから行く場所が決して不毛の大地ではなく
果てし無く続き大海原でもない
優しいいい香りのする極楽のような土地だと
あなたが教えてくれた
決して運命を恐れぬこと
雨でも雪でも大嵐でもやまない日はない
それがすべての感官をうしなう時まで
ずっと続いているのだがら
僕はあなたの香りをこの世の思い出として
消えて行けるならそれでいい
それがいい
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水と緑と風と [詩(うた)]

名も知れぬ山があった
無人駅で電車を降りて
農家が点々とする丘陵地帯を抜け
小さな川を何度かわたり
傾斜の急なセメント舗装の道を
翠の屋根の下登ってゆく
山側にはパイプから
じゃんじゃん冷たい水が溢れ
道の上まで覆い
沢蟹がゆっくりと横切ってゆく
道は細く砂利敷きになり
やがて木の根や土くれになった
木漏れ日がやっと届くほど森は深く
汗だくになりながら登ってゆく
尾根筋に出た時さあっと風が流れた
命が戻ってきたようだ
青い空白い雲緑の袖そしてせせらぎ
この一時間余りですべてに会えた
またくるよ

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私の壊れかた [詩(うた)]

自分の頭の中がどんどん崩れて行っている
これはトリプタノールのせいなのか
それとも老化のせいなのか
シナプスの伝達物質を増やしたり
再取り込みを阻害しているはずなのに
記憶が櫛の歯が抜けるように消えてゆく
もちろん今のところしばらくすると思い出すが
その時間が延びて行く
恐ろしい事だが自分の壊れていくさまを
自分で理解しながら迎えて行き
最終局面ではその理解も消えてしまう
まるでコンピュータに記憶を食われているようだ
少しでも私が私らしく生きていられるように
努力の嫌いな私が努力する
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ヒカリ [詩(うた)]

せっせとアリのように生きてきたわけじゃない
キリギリスのように毎日浮かれてきたわけでもない
多くの人がそうであるように
なんだかわからないうちに時間を浪費してきた
ダメな人間だと大きなため息をついて
視線を足元に落とせば
踏みしめているはずの足がよろめいている
こんなはずじゃこんなことでは
そんな言葉の繰り返し

眼を上げたら火の光にクラクラ倒れそうになった
私はずっと影ばかり見てぎたのかもしれない
今頃わかっても遅いか
そうではない
たとえ夕日であっても明日からでも光を浴びて
前を向いて生きて行こう
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ある四月の風景 [詩(うた)]

まだ深緑の頃には少し早い
桜も散って季節はもう夏の匂いを感じさせる
田んぼの水鏡が流れゆく雲の影を映す
牧草地には雲雀が高く歌い
午後の日差しが緩やかに柔らかく注ぐ
僕がここにいても何も動かない変わらない
絵の中の帽子をかぶった少年のように
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僕らしい [詩(うた)]

ごめんなさい好きな人ができたから僕と別れてくださいと
別れてあげるから最後に思いきり叩かせて
そんな別れがありました
数日後に新しい彼ができたのと
思いっきり強がりの電話がありました
僕はまだ新しい恋に取り掛かったばかりで
ふんふん静かに聞いていました
うまくいくかわからない新しい恋より
続けていたほうがいいかもしれない
そんな卑怯な思いが頭をよぎりました
やっぱり僕は正々堂々正直に
新しい恋にチャレンジしました
結果はどうであってもこれはこれで僕の生き方ですから
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遅い雪 [詩(うた)]

三年ほど前は春の雪が降った、昔にもよく桜に雪の日を見た南岸低気圧と寒気のコラボが春の雪の正体だが、その微妙なところで雨になるか雪になるかが決まる。低気圧の発達の度合い、通る位置、上空の寒気は零度の線の位置、それが全て揃うと雪になる。これが太平洋側の大雪パターン、関東だけでなく九州も同じことが言える。だいたいが粉雪ではなく牡丹雪でバサバサと最初に降って後から細かくなる。
白い雪が全てを閉ざす
昨日の過ちも遠い過去も
都会の熱情を凍らせ孤独な絶望を隠して
鉛色の空から降ってくる雪は
異世界からの免罪符
俺は明日から生きていける
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温もりあげるから [詩(うた)]

世の中が浮かれているときにはじっと足元を見つめて
厳しく冷たい風に向かってはほほ笑んで目をあげている
俺の生きてきたやり方は変えられない
まるで心など誰にも見せないで
それでもやさしさは忘れない
この世が凍り付いたとしても
夜明けは必ずやってくるから俺のそばを離れずに
温もりをあげるから心を閉ざさずに
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遠い昔のこと [詩(うた)]

高校の卒業式を終えて
推薦で大学が決まった人や
早々と浪人を決めた人が
教室の中でさざめいている
僕はまだ受験があるけれど
家にいてもつまらないので
学校に来ていたんだ

隣のクラスで友達と
話していたらそこに君がいた
全くそれまで話したこともない
名前さえ知らない君と話したんだ
なぜかそれから毎日のように
二人だけで話したんだ
だけどほどなく僕は浪人することになって
都会へと旅立ったんだ
せっかくこんなに仲良くなったのに
ここでさよならは悲しいと
お互いに住所を交換して僕は旅立ったんだ

それから君からの手紙がきて
さようならの文字だけしか覚えていない
理由も何もない手紙
さよならの文字だけがさまよっている
あれから君はどうしていますか
僕はあのまま年老いました
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