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花乱れ [思い出]

木の実が落ちる音に落ち葉が舞い散る音に秋を感じる。そういえば毎年金木犀の記事を書いたが今年は書いていない。そうか、金木犀のたくさんある公園通りを歩いていなかったからか。私にとっての金木犀は初秋そのもので、あまたある思い出の中でもその核心に輝く花でその香りは甘く、悲しく、涙が零れそうになる。私の人生のなかで金木犀と一緒に風に消えた想いはどれだけあっただろう。夏が過ぎて静かに消えて行く恋いと通り過ぎてゆく季節の香に短くなった夕べが心を乱す。あの時君と見た夢はまるで夏の夜の合歓の花のよう。振り返れば誰もいない、一面の薄の原。
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