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あるお宿の猫と [旅]

ある小さなお宿に泊まった時のこと。泊った日は11月も終わりの冷たい雨の日、あまりの寒さに途中でユニクロで防水のパーカーを買ったものの、それまでにすでにびしょ濡れ状態。宿へ飛び込んで、ストーブの前で暖を取っていた。そこには2匹の猫がいてストーブの周りにゴロンとして寝ていた。黒とぶちの猫で元は野良猫だったが女将さんが世話をして飼い猫になったらしい。時々野良猫友達が入ってきて一緒にご飯を食べていることもあると言う。女将さんが炬燵を入れておいたからと言うので、早速部屋に行こうと歩き出すと、黒猫がついて来る。そして部屋の引き戸を上げると先に黒猫くんがダッと走って炬燵の中に飛び込んだ。よく知っているな、炬燵は温かいもの。そして、食事ができましたと女将さんの声がかかると、私が引き戸を開けるやいなや飛び出して行った。そして食事の会場に行くとテーブルの横に座って待っている。私がなでてやるとのどを鳴らしている。そして食事になると足にすりついて来るので何かあげようかなと思った、いきなり私の膝の上に乗ってきた。そして、黒猫くんはテーブルの上を眺めながらすーっと手を延ばして焼き魚(カマス)を取っていった。その様子があまりに面白いのでじっと見ていた。私の膝にはカマスの油がべったり足元では魚の骨が散らばっていく。女将さんが謝ってくれたが、猫が嫌いなら怒るところだがなんとなくうれしかった、久しぶりに猫が身近に感じて昔を思い出した。それから風呂に入って部屋に帰ったが、また黒猫くんはついてきて炬燵へ入っていった。寝るのに炬燵は邪魔だが仕方がないので布団の上に炬燵を移動して眠りについた。明け方、にゃおにゃおと黒猫くんが引き戸の前で鳴いているので目を覚ました。どうやら、出してほしいらしかった、明けてやると渡り廊下で友達の野良猫に挨拶をしていた。私はもう一眠りして、早朝宿を後にした。これは5年ほど前に出会ったある小さな宿でのおっ話です。
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