想い出がたり [思い出]
秋の日が誰彼となく影法師にしていく頃、部活を終えて家路を急ぐ自転車の二人。急な坂道を諦めて自転車を押しながら、たわいもない会話が続いて、お互いに本当は違う事が切り出せない。ずっとこんな日が続いてもう、一緒にいるのは半年を切った。僕は秋の寂しげな風の中に短い言葉を隠した、君は今なんて言ったと聞き返した。何でもないと答えた僕は空を見ながらため息をついた。たった一度の臆病な勇気、どうして素直に言えないんだろう。だけどこの想い出がずっと後悔として心にあったから、後悔をしないために心が痛いほど好きならば、ちゃんと自分で言おうと決めた。勇気は背中を押してくれるものではなく、内側から突き動かすもの、だと思う。
2021-09-28 07:00
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